3Dプリンターで千葉市の戦争遺跡(陸軍気球連隊・第2格納庫)を再現
千葉市中央区にある千葉市立郷土博物館にて、小企画展「陸軍気球連隊と第二格納庫-知られざる軍用気球のあゆみと技術遺産ダイヤモンドトラス-」が開催中です。
鉄道連隊や歩兵学校、戦車学校と並んで軍都千葉を特徴づける存在として、千葉市稲毛区作草部にあった陸軍気球連隊に関する展示がされており、その前史である軍用気球の始まりから埼玉県所沢の気球隊の活動、千葉郡都賀村作草部に移転後の地元との交流や戦争とのかかわりについて紐解かれています。
最新技術「3Dプリンター」を活かした戦争遺跡の再現プロジェクト
目を見張る貴重な展示物の数々の中に最新技術を集約した製作物が展示されています。
千葉市の広告代理店・世広(せこう)とちば素敵艦隊ラジコンチーム(1/200艦船模型倶楽部)の中村氏とで、ある共同製作が行われました。
それは解体された「千葉市の戦争遺跡」かつて千葉市稲毛区作草部にあった陸軍気球連隊・第二格納庫の【ある部分の】再現でした。
戦後は昨今まで川光倉庫として残るも、令和2年に惜しまれつつ解体。
ただ、この第二格納庫は、昭和初期の高度な建築技術ダイヤモンドトラスがなされていた貴重な技術遺産であったのです。
「ダイヤモンドトラス」とは、1932年(昭和7年)に開発された立体構造建築。無柱・無梁・斜交材で大空間を創る画期的な構造は、その独創性と有用性が認められています(参考:【「ダイヤモンドトラスの説明」参考・抜粋】巴コーポレーションHPより)
解体にあたり、その歴史を目に見えるカタチでなんとか残したいという、非営利団体・千葉実年大学校歴史倶楽部さんたっての想いに千葉市に息づく広告代理店と任意団体が呼応して製作したのが、このダイヤモンドトラス構造の模型だったのです。
建築士であり、千葉市近現代を知る会会長・市原徹さんのアドバイスを受けながら、3Dプリント用の図面制作からはじまり実作を重ねつつ。
なかなかのドラマを経た末に、完成!
リベットまで再現された完成品(1/100スケール)は歴史倶楽部さんから千葉市立郷土博物館へ寄贈。
こうして5月26日(水)からの小企画展「陸軍気球連隊と第二格納庫-知られざる軍用気球のあゆみと技術遺産ダイヤモンドトラス-」にてお披露目されるに至りました。
この3Dプリントでの再現プロジェクトが「市制100周年」を迎える千葉市にとって忘れてはならない歴史と平和の尊さについて考える機会となったことに、「(3Dプリントの)技術を地域のために活かせて光栄です」と㈱世広さんとちば素敵艦隊の中村氏はコメントしています。